仕事編:同僚から「下は手術したの」としつこく聞かれて困ったら

2024年09月17日

GID全国交流会誌2018の表紙イラスト

2018年のGID(性同一性障害)学会で販売されたGID全国交流会誌2018「特集号 トランスジェンダー としごと」の制作に関わった方および弁護士の許可を得て転載します。

<回答>弁護士 須田布美子

体のことや性生活についてしつこく質問したり、それを聞いて誰かと噂したりすることは、明らかなセクハラです。まして、同性でも異性でも、意に反して体に触るなんて論外です。男女雇用機会均等法は、セクハラを禁止しています。事業主(人を雇って事業をしている人)は、セクハラを防止する義務を負っていますので、会社の上司や人事に相談すれば注意してくれたり、配置転換を考えてくれたりするはずです。また、セクハラ相談窓口を社内に設けている会社もあると思います。

残念ながら、社会のトランスジェンダーに対する理解はまだ進んでいるとはいえず、テレビのお笑い番組や漫画等から差別的な影響を受けているせいか「おネエやオカマの
ネタにしていい」、「飲み会で笑いを取るのは許される」などと安易に考えて、される側の気持ちも考えずにそういう言動をしている人もいるでしょう。ですから、それは人を傷つける許されない行為だということを職場ではっきりさせることが重要です。
ほんの数十年前まで、職場の「女の子」に男性社員が性的なことを訊いたり、肩やお尻に触ったりすることは、当たり前のように横行していました。それがセクハラと呼ばれ、社会が「ハラスメント」として認識するようになり、男女雇用機会均等法で禁止され、さらにはセクハラによる慰謝料請求などの訴訟がたくさん起こされるようになると、職場ではそれは「いけないこと」という認識が共有されるようになりました。トランスジェンダーについても、同じようにセクハラは「いけないこと」なんだという認識を拡げていくことが重要です。我慢せずに、上司や人事、セクハラ相談窓口、社内がダメなら労働組合や弁護士などに相談しましょう。

制作・著作:GID全国交流会2018 有志実行委員会