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【声明】性同一性障害特例法における非婚要件について
2025-03-26 声明

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【活動報告】メディア向け勉強会を開催しました
2025-03-03 イベント 活動

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Tネットは、2025年2月20日にメディア向け勉強会「トランスジェンダーについて報じるために 2025年の課題と背景を学ぶ」を都内およびオンラインにて開催しました。 これは、米国でのトランスジェンダーをめぐる政策変更の動 […]

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【データ紹介】米国の反トランスジェンダー法が未成年者のメンタルヘルスに与える影響
2025-02-08 情報 知識

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米国では、トランスジェンダーの人々の生活や、それに関わる医療や教育現場での対応に制限を設ける動きが加速しています。 トランプ大統領による2025年1月の大統領令よりも前に、共和党が優勢な一部の州ではすでに「反トランスジェ […]

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未成年者への性別適合医療への政治介入を目指す米国大統領令に関する声明
2025-01-30 声明

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2025年1月30日 Tネット    2025年1月28日、ドナルド・トランプ米大統領は、未成年のトランスジェンダーに対する性別適合医療の禁止を促す新たな大統領令に署名しました。私たちTネットは、この […]

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近年、トランスジェンダーの人々が受ける身体的治療について、思想的な立場からこれを批判する論調が見られるようになりました。なかには、多くの当事者が治療を受けたことを「後悔している」といった主張も見られます。  しかし、現実 […]

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【声明】性同一性障害特例法における非婚要件について

2025年03月26日

声明

2025年3月26日
Tネット 

3月19日、京都家裁は婚姻中のトランスジェンダー女性による性別変更の申し立てを却下しました。Tネットはこの判断に抗議するとともに、法改正によって、婚姻中のトランスジェンダーの人びとに対する法的な性別変更の道が開かれるよう求めます。

 今回の申立人のように、戸籍の登録上は「異性婚」であっても、夫婦の一方が性別を移行しており、実態として「同性婚」の状態にあるカップルは少なからずいます。そうした状況にある当事者は、法的な性別変更のために離婚するか、婚姻を継続して法的な性別変更を諦めるかという、本来しなくてもよいはずの選択を強いられています。

 また、この非婚要件のほかに、性同一性障害特例法には「未成年の子がいない」ということを求める要件もあり、トランスジェンダーの人びとの家族形成に不当な制約を課し続けています。

 Tネットは、それらの要件の一刻も早い撤廃を求めるとともに、戸籍上の同性であっても婚姻が認められるような、法制度の整備を求めます。加えて、これらの要件を理由として法的な性別変更を阻まれてきた当事者がより広く救済されるよう、全国の家庭裁判所において、柔軟かつ踏み込んだ判断が下されることを求めます。(参考【声明】法的な性別変更について

 Tネットでは今後も、トランスジェンダーの人々が生きやすい社会の実現を目指して、情報発信や声明の発出を続けていきます。

Tネットは、トランスジェンダーに関する情報発信に取り組んできた当事者ら有志によるネットワークで、2024年8月に発足しました。代表は、木本奏太、野宮亜紀の2名が共同で務めています。今後、トランスジェンダーを取り巻く社会環境の変化を踏まえて、情報発信や提言、イベント、学習会、メディア向けセミナーの開催などを行っていく予定です。また、Webサイトでの情報発信についても、今後充実させていく予定です。

共同代表

木本奏太
<プロフィール> YouTuber/映像クリエイター。大阪芸術大学映像学科卒。YouTubeチャンネル「かなたいむ。」にて活動。トランスジェンダー男性、25歳で性別適合手術をし、現在は戸籍上も男性として生活。「映像を通して誰かの何かのきっかけに」と、SNSでLGBTQ+、耳の聞こえない両親との生活、ありのままの日常などを発信。

野宮亜紀
<プロフィール> 1998年からトランスジェンダーの自助・支援グループに運営メンバーとして携わり、2000年から東京レズビアン&ゲイパレードの実行委員、その後、パレードの主催団体であった東京プライドの理事を務める。2005年から大学で非常勤講師としてジェンダー、セクシュアリティについての講義を担当。

Webサイト
※今後、情報発信を充実させていく予定です。
https://tnet-japan.com

本件についての問い合わせ先
メール   : Transgender.Network.jpgmail.com(事務局メールアドレス)

2025年1月20日付の米国大統領令に関する声明

2025年01月23日

2025年1月20日付の米国大統領令に関する声明

2025年1月23日

Tネット

 2025年1月20日、ドナルド・トランプ米大統領は、性別の認識に関する連邦政府の方針を変更する、新たな大統領令に署名しました。私たちTネットはこれを、トランスジェンダーの人びとの人権とその生活を深刻に脅かす危険なものであると考えます。そして、この大統領令が、米国に暮らすトランスジェンダーだけでなく、LGBTQ+の人びと全体、そして日本を含む国際社会に深刻な影響を与えうることを強く憂慮します。

 この大統領令は、連邦政府の発行するパスポートやビザ、また連邦政府関係機関で働く人の人事登録における性別の登録を、全て「生物学的な性別(biological sex)」に合わせるよう求めています。そして、その場合のsexとは、その人が「受精の時点」で精子を作る方に属する人か、卵子を作る方に属する人かで定義されるとしています(注1)

 このような定義を性別の登録において強制すれば、すでに社会生活上の性別を移行して暮らしているトランスジェンダーの人びとのプライバシーが暴かれることになります。これらの人々は、社会的な性別のあり方と性別の登録が一致した状態から矛盾した状態へと変えられることになり、就労や渡航において偏見にさらされ、トラブルに巻き込まれることになります。

 この大統領令は、トイレなどの施設利用に関しても混乱を生み出します。例えば、すでに男性として生活し、周囲とも男性として人間関係を構築しているトランスジェンダーの男性は、この大統領令によって、連邦政府の施設を利用する際に女性用トイレを使用することを強制され、また、収監される場合には女子刑務所に収監されることとなります。トランスジェンダーの女性も、同様の矛盾を強いられます。

 本来は、当事者一人ひとりの状況や周囲との関係に即した運用をすることで、混乱を防止することが可能です。しかし「精子か卵子か」といった規則を適用すれば、現場に無用な混乱が生じるばかりでなく、暴力を誘発し安全を損ねる危険があります。

 共和党とその支持層は、女性のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の縮減を進めてきました。この大統領令もまた、思想的背景に基づいて性別の規範を強制しようとする一連の動きに連なるもので、現実に「女性を守る」ようなものではありません(注2)。その意図は、社会にあえて混乱を招き、トランスジェンダーの人々の社会生活が困難となるよう仕向けることで公的社会から排除していくこと、それによって過激な中核的支持層の歓心を得ることにあると考えられます。

 とりわけ、トランスジェンダーの子どもや若者が教育現場で受ける影響は、見過ごすことができません。今回の大統領令では、学校において、トランスジェンダーだけでなく、同性愛者なども含めたLGBTQ+の児童・生徒を保護してきた多くの施策を撤回するよう要求しています。これらの子どもたちにとって、学校は、いじめやハラスメント、構造的な差別に直面しやすい場であり、安全とは言えない環境です。弱い立場に置かれた子どもたちから、安心して学べる場を奪うことは、未来の可能性を大きく狭めることにつながります。

 カミングアウトをする人も少なく実態が知られていないトランスジェンダーを標的とし、人々の敵意を煽ることで支持を得ようとする姿勢は、とうてい容認できるものではありません。特に、米国の大統領が過激な姿勢を示すことで、日本国内においても見られる差別的・反社会的言説や、社会の分断が加速されることを私たちは懸念します。

 また、社会のリーダーであるべき政治家が率先して、出身地、人種、民族、性別、性的指向・性自認などの属性や経験に基づく差別や排除を促すことに強く抗議します。

以上

注1:
「出生の時点」ではなく「受精の時点」という記述は一般的に見て奇異であり、一部には、受精卵を人と見なして妊娠中絶の自己決定を否定する考え方を反映しているとの見方もあります。

注2:
大統領令は、この方針変更によって「女性を守る」と謳っています。しかし、出生上の性の区分にしたがった施設利用を強制すれば、多くのトランスジェンダーが(女性も男性も)見た目と逆の施設を使うこととなり、混乱が増大します。シスジェンダーであっても、男性的な外見や体格をもつ女性は疑いの目を向けられ、暴力などの被害に会いやすくなることが考えられます。また、大統領令の定義によればトランスジェンダーの男性は「女性」に含まれますが、そのような人が「守る」対象に含まれていないことは明らかです。さらに、社会的な脆弱性ではなく生殖能力を根拠として女性を保護するという考え方は、女性を「産む装置」とみなす社会への逆行につながるという点に注意が必要です。

本件についての問い合わせ先

メール : transgender.network.jp@gmail.com(事務局メールアドレス)
Webサイトhttps://tnet-japan.com/

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Tnet

TNETロゴマーク

Tnetとは

Tネットは、トランスジェンダーに関する情報発信に取り組んできた当事者ら有志によるネットワークで、2024年8月に発足しました。

代表は、木本奏太、野宮亜紀の2名が共同で務めています。今後、トランスジェンダーを取り巻く社会環境の変化を踏まえて、情報発信や提言、イベント、学習会、メディア向けセミナーの開催などを行っていく予定です。また、Webサイトでの情報発信についても、今後充実させていく予定です。

団体概要

  • 名称: Tネット
  • 設立:2024年
  • 共同代表:木本奏太、野宮亜紀
野宮亜紀
Aki Nomiya

1998年からトランスジェンダーの自助・支援グループに運営メンバーとして携わり、2000年から東京レズビアン&ゲイパレードの実行委員、その後、パレードの主催団体であった東京プライドの理事を務める。2005年から大学で非常勤講師としてジェンダー、セクシュアリティについての講義を担当。

木本奏太
Kanata Kimoto

YouTuber/映像クリエイター
大阪芸術大学映像学科卒。
YouTubeチャンネル「かなたいむ。」にて活動。トランスジェンダー男性、25歳で性別適合手術をし、現在は戸籍上も男性として生活。「映像を通して誰かの何かのきっかけに」と、SNSでLGBTQ+、耳の聞こえない両親との生活、ありのままの日常などを発信。